寄稿

【寄稿】ジャイアントベイトとスパイベイティング ~日本発、だが日本で流行らずのレアケース・ベイトたち~

今回も寄稿というカタチです。

先日、寄稿したいという旨のメッセージを頂きまして、今回このように掲載しております。

Rod&Reelで4年間『色白漁協』という連載企画を書いていたライター、AOKI JUNTAROUという方による記事です。Twitterはこちら

かなりキャラ濃い方であり、またかなりの長文ですので、お時間ある時にごゆっくりご覧ください~。

~~~~~ 寄稿ここから ~~~~~

 

皆さまこんにちは、AOKIです。

はじめましての方、どうもよろしくお願いします。どっかで知ってるよという方、またこんな場所で巡りあわせるなんて不思議ですね。

今回は hebinuma さんにて、とあるアメリカ人プロフェッショナルフィッシャーマンからの「日本でもこの釣りをやってみてくださいね」な寄稿を元にして、日本ではまだほぼ未公開と言ってテクニック、ノウハウ、その他の雑談を、紹介させていただきます。

そのプロフィッシャーマンの名は『David Swendseid』。

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オレゴン在住、日本発のルアーメーカーDUOさんのプロスタッフです。ケンカが強そうな風貌だけど(なにが「だけど」なんだ)、とっても紳士でインテリ。さらにフィネスな釣りがそこらの日本人よりはるかに得意っていう。

彼はアメリカ本土では、DUOのカタログの表紙を飾るほどの男で、しかも彼が発起人、キーパーソンとなってアメリカで流行させたメソッドは最早数知れず。

ほんとうに、アメリカではとっても旬っつうか熱い人なのです。日本風に言うなら、いわゆるタレントタイプのフィッシャーマンというより「名人」で「しかもそれを広めるのが上手い」という。

すげえイヤらしい言い方をするなら、彼は「DUOはさあ、もうデビッドにどれだけ儲けさせてもらってるかわかりませんよ~」って感じの人なんです。スゴイよね。

しかし日本では知名度が本当に低い。まあ当たり前といえば当たり前なんです。うちの国のバスフィッシング事情は、アメリカでトーナメントに出てる人とか、アメリカで家が立つくらいロッド売ってる日本人とかより、野池でオカッパリしてる人のほうが人気のある国なんですわ。それは仕方ないんだよね。そもそも環境が違うからね。CDショップでテイラースウィフトよりAKBが売れてるようなもんだよ。

んで、なんだってそんな人からの寄稿&ノウハウを、AOKIが紹介&翻訳することになってるかというと、べつにビジネス的なお付き合いはないですよ。AOKIはいちおう『釣り業界の人』ではないですからね。あくまで腰掛け、片足の指をときどきツッコむだけ。この立ち位置がゆえに酷いことをときどき書けるのさ――……は、おいといて、デビッドさんとAOKIが知り合ったのは完全に偶然。Facebookでアメリカ北部の釣り調べてたらなんとなーく相互フォローになって友達になって――って感じ。彼は僕を「日本でものすごく活躍してる作家」と思ってくれてるみたいだが、まあ、大嘘ついてるわけじゃないから、このままにしとこうね!!

で、AOKIは彼から、ときどき「ラージにもスモールにも有効な最新のカリフォルニアビッグベイドテクニックを紹介するよ」とか「スパイベイティング(SPYBAYTING)、日本でももう少し流行らないのはなんでかなあJUN」などと、イロイロおもしろな話をさせてもらってたんですよ。

これをAOKIは「ああ……これはどっかで紹介してあげねえとな……ごめんねデビッド、もう少し待ってくれ」とずっと気にしてたわけなんです。デビッドもね、ビジネスマンだし。それを少しは期待してAOKIに話してくれてたんだろうしね(ゲスい心)。

デビッドを経由して伝えられるノウハウは、本場アメリカで一世を風靡しているようなモノばかりだから、いずれもかなりハイレベルで、かつ成果主義だ。

なにゆえ日本でこれが紹介されにくいのかというと、ハッキリ言うと冒頭でふれたとおり「日本ではコレが受け入れられるだけの環境が整っているフィールドが少ない」というのが大きい。

だがしかし。全てのフィッシングノウハウは、バスを、ひいてはフィッシュイーターをターゲットにしている。これは世界中どこにいっても変わらない。

釣り人ならば、海を越えた先から学ぶべきことがある。全く違う釣り環境にいる仲間からこそ、得られる発見がある。

心して読んでみてくれ。ここから記すのは、日本のどの釣り雑誌にも、まだ『採算が取れないから載せることができない』ノウハウだ。

 

――ともあれ前置きが長くなったけど、こっから本編だ。本編も長いぞ! なにせ本場アメリカの釣り記事っていうのは「何のルアーが釣れる」とかは書かないんだ「なんで釣れるか俺なりに考えた」がまるで私小説かコラムみたいな書き方をされているんだ――

 

プロローグ。『ジャイアントベイト~その『大きさ』を活用するために~』

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【原文】David Swendseid
【意訳と補足】AOKI JUNTAROU

カリフォルニアのトロフィー・バス・ハンター、Jason Kincannon氏は、ある日、私(デビッド)にこんなことを話しました。

「生き餌で巨大なバスを……バス以外の魚でもそうだが、大きな魚を生き餌で釣ろうとすると、これは名人と言われる者ほど、大きな生き餌を選ぼうとする。私は、それを見てジャイアントスイムベイトというルアーの世界に興味を持ったわけだけど、それは、ただ大きければいいというものじゃない。大事なのは『その時のコンディションのなかで最大級の大きさのベイト』を選ぶということらしい、そんなことを最近思う」

と――。

Jason Kincannon氏は、州記録の魚を何度もあげている釣り名人だ。そんな彼の言葉だから、というのもあったのだけれど、私はこのとき深い感動を覚えた。

私は、彼からジャイアントスイムベイトのノウハウを学びたくなり、彼のスチューデントとなることを望んだが、しかし彼と私が共に研究したのは、つまり自然界すべてのことだった。

『ルアーが大きければ大きいほど、大きい魚が必ず釣れるというものではない』――これはバスフィッシングの現実をみていても明らかだ。もしそんなに単純ならば、ルアーは毎年大きくなっていって、いま私達は一メートルを超えるようなスピナーベイトを投げたりしているはずだ。

だがしかし、ビッグベイドはビッグバスを連れてきやすい。これは、おそらく確率の問題なのである。

最も効果的なビッグベイドとは『TPOに準じた最大のベイト』といえる。

この状況、この湖、このシーズン、このエリア、この水温ならば――その状況で『許容される』最も巨大な餌とは、つまりなんなのか――。巨大なバスは想像を絶するほど賢いところがあったり、ナマケモノであったり、偏食であることが多い。

そんなトロフィーバス、ビッグバスたちを次々と釣り上げるには、彼らがその時に最も求めている、食欲、摂食行動に踏み切らせるだけの『餌としての説得力』が必要になってくる。それをあるときに完璧に満たすことが出来るのが、ジャイアントベイトというジャンルなのだろう。

巨大であること武器になるシチュエーションを見つけること。そのシチュエーションのなかで許容される巨大さを見極めること。

この思考軸がジャイアントベイトを理解していく上では一つの基準となっていく。

 

ジャイアントルアーは最後のフロンティア

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バスフィッシングは、同じ淡水域ルアーフィッシングのなかでも、とても自由度の高い、またアングラーに求められる知識が、広範囲に及ぶ釣りである。

例えばトラウト・マス・フライフィッシングでは、基本的にフライというベイトが『虫』を模しているということから、フライフィッシャーマンは、なによりも昆虫のライフサイクルに主眼をおくことになる。

しかしバスアングラーは、バスという魚が昆虫も甲殻類も魚(クラッピー、ブルーギル、ブラックバス――etc)も、すべてを模したルアーを使わなければならない。ゆえにバスアングラーは、これら全てのバスの餌のライフサイクルを頭にまずいれなければならない

そして何よりも、ジャイアントベイトを使うアングラーともなれば、これらの二次捕食者の行動を学ばなければならない。上記の『ベイトを食うベイト』である。

二次捕食者にまで観察領域を広げると、これは水域で換算すると1フィートから80フィート超にまで及ぶし、水路からそれを囲む山々の自然、数千マイルの地形、土地の歴史まで理解する必要を迫られてくる。

虫は虫カゴで飼って観察できる。小魚も水槽で飼って眺めることが出来る。

しかし、『巨大な魚を自然環境にちかい水槽で飼う』ことは、これは極めて限られた人間にしか出来ないだろう。現実的には『無理』といってもいい。

ジャイアントベイトは、そもそもそれを学ぶこと、それそのものが他のルアーに比べて困難なのである。

プロや名人(マスターレベル)と呼ばれるアングラーたちには、それぞれみな、得意技がある。スピナーベイト、ジグヘッド、フリップ――しかしこれらは、じつは彼らはその技術のみに長けているのではなくて『その技の使いドコロが分かっている』という意味合いでとるほうが正しい。

彼らはそのメソッドが絡む自然状況を覚えている。

そして今。世界中のバスアングラー(とくにトーナメンター)のなかで『ジャイアントベイト』を『得意技』である、と意気込む者は、極端に少ない。

ジャイアントベイトは、つまりそれが有効な環境が、まだ明確に把握されていないのである。ジャイアンベイトこそが世界のバスアングラーにのこされた、最後のフロンティアである、と言われるのは、ここに理由がある。

 

カリフォルニアで生まれたジャイアントベイトは日本で進化した

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ジャイアントベイトでのバス釣り発祥の地は1980年代のカリフォルニアだが(ハード素材にソフト素材のテール、という組み合わせは世界中でコピーされた)、実際に技術として確立しだしたの1990も後半にはいってからで、しかも決して多くのアングラーが没頭したとはいえなかった。

一つの理由に、そのルアー自体の重量、巨大さのせいで、タックルの新調が必要になるということが、ハードルをあげた。

外洋に用いるクラスのキャスティングロッドに、30ポンドを超えるラインが大量に巻けるリールが必要だった。今のように「ジャイアントベイトロッド」は無かったのである。

そんななか、急激にジャイアントベイトを進化させた場所が、日本のレイク・ビワだった(世界記録フロリダバスが更新された全米アングラー夢のエリアである)。あのロマンメイド・ジャイアントベイトは、この地で生まれている。

マイスター・Takeyamaがウッドから削りだすルアーのサイズは、12インチ12オンス。しかしこの巨大さは決してジョークやフェイントで作られているものではない。コレを使うには覚悟が要るが(とても高価である)、それが与えてくれる報酬はやはり素晴らしい。ロマンメイド・マザー(メーカー代表作である)を一度でも使えば、レイク・ビワが夢の地であると、アメリカにいても実感できるだろう。

他にもジャパンレイクビワの血統を感じることができるものとしてはDUOの『プロジェクト・プロメテウス』のジャイアントベイト『ONIMASU』。

7-7 / 8thsインチ長それはほぼ3オンスの重量。これの開発には私もオレゴンのクリアレイクで関わった。ONIMASU唯一の問題点はリアルすぎて本物の魚と判別できないことだ。

ジャイアントベイトは、巨大でありさえすれば、またある程度のカタチの要件をみたしていさえすれば、S字のアクションをするし、その巨大さがゆえに集魚効果を持つことは容易い。しかし、それに『バイトさせ、フックにかける』ことまでプロデュースしてくれるビッグベイドは、それほど多くないことを知るべきだ。

次回は
◯ Can Anyone Fish Big Swimbaits?
◯ Quick and Easy Techniques。

 

~~~~~ 寄稿ここまで ~~~~~

 

かなり濃い、ボリューミィな内容だったと思います。僕にはこんな文章書けません ( ´∀`)

なお、冒頭にも載せましたが、今回の寄稿者(ライター)であるAOKI JUNTAROUさんはTwitterもやってます。

かなり頻繁につぶやいてるようで、ツイート数10万回とか行っちゃってます。

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